最終更新日 2024年12月2日
経済産業省登録・中小企業診断士の川元です。
コロナ禍のような急激な外部環境の変化が増え、急に既存事業の継続が難しくなる昨今、新規事業の立ち上げにより経営リスクの分散を考える企業様が、大企業・中堅中小企業問わず増えてきています。
しかし新規事業の立ち上げにあたっては、単なる思いつきで実施しても上手くいかないことが殆どです。
今回は新規事業の立ち上げにあたり、どんな準備や検討のプロセスを経て立ち上げるべきか、当事務所としておすすめする考え方をお伝えします。
新規事業の立ち上げでお悩みの方は、ぜひ一度当事務所の無料経営相談をお試しください。
新規事業を立ち上げたい経営者様
新規事業の立ち上げを指示されたが、どう進めるかお悩みのマネジメント層の方

新規事業検討フレームワーク資料は、以下からダウンロード可能です。
目次
新規事業立ち上げプロセス概略

新規事業を立ち上げる上では
- 方向性仮説立案
- 初期実行準備・仮説検証
- 事業投資
の順で進めることを当事務所としてはおすすめしています。
この手順で進めることのメリットとして、大きな投資をする前にある程度上手く行きそうか、そうでないのかの判断がつくので、新規事業に失敗した場合に大きく会社が傾くといったリスクを防ぐことが可能となります。
資金面でのリスクを減らすことが出来る反面、仮説検証などにそれなりに期間を要する手法です。
現状の会社の資金繰りを踏まえて、どの程度新規事業準備期間に充てることが出来るかを検討の上で着手しましょう。
方向性仮説立案

まずは、どの方向性で新規事業を展開していくかを考える必要があります。
事業展開の方向性や戦略の考え方はいくつかありますが、その中でも「市場」と「製品(サービス)」を「新規」と「既存」で分けて考えるアンゾフの成長マトリクス(以下図)に落とし込んで考えてみることをお勧めします。

新規事業は、「製品やサービスを新しいものにするのか?」「参入する市場を新しいものにするのか?」「市場も製品も新しいものにするのか?」の観点で分けることができます。
まずは上記のような選択肢の整理をした上で、どの選択肢を取るべきかを検討するには、自社の内部環境(持っている強みや弱み)と外部環境(参入している市場の筋良し度合い)を整理してみることをお勧めします。
内部環境と外部環境の整理には以下記事を参考としてみてください。
現在事業展開している、既存の市場の筋が非常に良く、且つ製品力が非常に高い場合などには完全な新規事業を考えることが得策でないケースがあります。
そのような場合は、新たな取り組みとして、お客さんが一度に購入してくれる量を増やすための施策や購買頻度を上げてもらうための施策を取る「1.市場浸透戦略」を取ることが望ましい場合もあります。
市場か製品・サービスで新しくするものが決まったら、具体的に「どの市場ならその製品が受け入れられそうか?」「どんな製品なら、その市場で受け入れられそうか?」の観点で新規事業のアイデアを出し、磨いていきましょう。
初期実行準備・仮説検証

新規事業案の骨組みが決まってきたら、具体化の上で初期的なテストマーケティングを実施してみましょう。
大々的に新製品の生産の投資や広告宣伝投資をする前に、ある程度狙った市場に受け入れられそうかを把握する上でもテストマーケティングは非常に重要です。
どのようなターゲットに対し、どのような価値提供をするのか、その価値提供を行う販売チャネルはどうするのかなどを具体的にした上で、その内容に即すことで、精度の高いテストマーティングが可能です。
上記の内容の具体化にあたっては、以下のビジネスモデルキャンバスにあてはめて考えてみることをお勧めします。
ビジネスモデルキャンバスの各項目には考える順番がありますので、以下図のナンバリングしている順番でぜひ考えてみてください。

ビジネスモデルが具体化してきたら、その内容を最低限試せる程度の施策品や試験サービスを、試験的に販売してみましょう。
ここで重要なことは、大きな資金を投下せずに実行してみることです。
この仮説検証のタイミングでは、顧客ターゲットに対してヒアリングやアンケートだけを実施して済ませてしまう企業もありますが、できれば実際に販売してみてお金を払ってくれるのかを確認することをお勧めします。
何もしないよりは、ヒアリングやアンケートを実施した方が良いですが、「買うと言ってくれること」と「実際に買ってくれること」の間には大きな隔たりがあります。
詳細は以下記事を参考にしてみてください。
事業投資
テストマーケティングの結果、期待したような顧客反応が得られなければ、方向性仮説立案の段階に立ち戻って新規事業の方向性を考え直してみましょう。
逆にテストマーケティングの結果が期待した内容であれば、本格的に事業化するための準備を進めましょう。
具体的には以下のような内容を決めていく必要があります。
- 新規事業推進の体制
- 投下予算額/原資の調達方法
- 事業目標の設定(KGI・KPI)
新規事業推進の体制
新規事業推進は誰が責任を持ち、進めていくのかを明確にする必要があります。
経営者自身が責任者を務めても良いですが、新規事業の立ち上げは経営者の後継者候補やマネジメント人材を育成する機会としても最適です。
後継者育成などを考えている場合は、後継者候補の方にぜひ一度任せてみましょう。
経営者以外の人物に任せる場合の注意点として、以下二点があります。
- 責任者には意思決定/予算利用の自由度もある程度与えるようにする
- 経営者への報告の場を細かすぎない範囲で設ける
新規事業の推進をする場合、数多くの意思決定や決断の機会が訪れます。
この全てを責任者から経営者に報告させて決断していては、責任者を務めた人材の主体性を損なうことに繋がります。
しかし、全てを任せてしまうと「新規事業の結果が、経営者の意向とズレてしまう」懸念が出てきます。
そのため、非常に重要な意思決定や多大な資金投下が発生する場合だけは、経営者と責任者間で擦り合わせておき、両者で話しあった上で意思決定をするようにしましょう。
投下予算額と調達方法の検討
新規事業には、ある程度のお金がかかります。
新サービスや製品の開発や、広告・マーケティング投資など各項目に対して、いくら程度の予算を用意しておく必要があるのかを事前に見積もっておきましょう。
その上で、その予算をどのように捻出するのかは、経営者がしっかり見定めておく必要があります。
既存事業の儲けから資金を捻出するのか、外部からの資金を調達するのか(金融機関からの融資/補助金の活用)など決めていきましょう。
外部から調達する際には、調達に資する事業計画書の作成等が必要になります。
当事務所では資金調達の支援を実行しているので、経験が浅くご自身だけでの実施が難しい場合には、ぜひ当事務所にご相談ください。
事業目標の設定(KGI・KPI)
新規事業を行う上で、損失が拡大してしまう大きな要因の一つとして、事業が期待通りに進んでいないにも関わらず、撤退のタイミングを逸してしまうことがが挙げれらます。
そのため、事業開始前に目標設定(KGI/KPI)をしておき、将来のどこかの時点でどの程度の売上貢献や利益貢献をしていない場合には撤退するなどの意思決定をできるようにしておきましょう。
まとめ
今回は新規事業立案のプロセスと注意点を解説しました。いかがでしたでしょうか?
新規事業の立案の方法は決して一つではありませんが、今回解説したものは多くの成功した新規事業を生み出した方法の一つです。
どう進めていいか全く目処が立っていない場合には、ぜひ参考にしてみてください。
当事務所では新規事業の立上げ支援や、マーケティング戦略立案・実行・資金繰り改善のご支援をしています。
もし外部機関に協力を仰ぐことを御検討される際には、選択肢の一つとして当事務所を入れていただたら、非常にありがたく思います。
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