最終更新日 2025年1月7日
経済産業省登録・中小企業診断士の川元です。
新規事業が失敗してしまったよくある原因として、市場がないにも関わらず事業展開を開始してしまうことが挙げられます。
今回は新規事業を開始するにあたり、行うべき市場調査の具体的な実行方法を解説します。
新規事業の立ち上げを検討している方は、ぜひ一度当事務所の無料経営相談をお試しください。経営企画のプロが市場調査の実行方法も含め、貴社に最適な進め方をご提案いたします。
新規事業を立ち上げたい経営者様
新規事業の立ち上げを指示されたが、どう進めるかお悩みのマネジメント層の方

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目次
市場調査の重要性

市場調査とは?
「市場調査」とは、新しいサービスや事業の開発や、既存製品の販売促進、場合によっては資金調達の際の事業説明のために、その商品や事業が対象とする市場の現状や今後の見通しを把握する活動を指します。
市場調査で調べる項目としては、以下のようなものが挙げられます。
1.市場規模と今後の見通し
対象市場の市場規模の定量的な調査(例:巣鴨エリアにおける居酒屋業態の事業規模はXX億円である。)や、その市場の成長率(例:年平均で〇%向上する見通しである)といった内容を調査します。
このような調査をすることで、参入した後に期待しているような売上や利益を獲得できる可能性があるのか?や伸びゆく市場なのか(今後が期待できる市場なのか?)などを把握することができ、新規事業を行うべきかの判断に役立ちます。
2.市場セグメントと顧客ターゲット
自社が実施しようとしている市場を細分化してみたときに、どのようなセグメントの分け方ができるか(例えば人材派遣事業を行う場合、事務職の派遣/エンジニア職の派遣/営業職の派遣などの細かな市場に分けることができます)を考え、その上で自社はどのポジションを取るかを考える必要があります。
その上で、顧客ターゲット像がどのような人や企業であるのか、検討を深めていくことになります。
3.対象顧客のニーズと購買行動
顧客ターゲット像がどのようなニーズを持って、どのような購買行動を起こしているのかを調査します。これにより、販売するときのアピールの仕方などが定まってきます。
また、顧客ターゲット像が企業である場合、どのような購買手続き(人事部の社員が派遣会社を調べ、使う派遣会社をある程度決めた上で人事部長が決済して決めるなど)をしているのか、意思決定のプロセスを調べます。
これにより、相手企業のどのような職種や役職の社員にアプローチすれば良いのか見えてくるようになります。
4.競合他社の動向
競合がどのような商品やサービスを、どのような市場に対して、どの程度の価格帯で販売しているのかを調査します。その上で、どのようなアピールの仕方をしていて、売れているのか否かまで深掘り調査します。
競合調査をすることで、「競合との差別化をどのように考えるか」や「その市場に参入すべきか否か」などが浮き彫りになってきます。
5.自社商品やサービスのブランド認知
既に自社製品を対象市場に提供し始めている場合は、自社のサービスや商品がどの程度対象顧客層に知られているのかを確認します。
知られていない製品は存在しないことと同じであり、どれだけ製品を磨く努力やアピールする内容を洗練させたところで、全く無意味になってしまいます。
市場調査が必要な理由
市場調査をしなければ、「どのような製品やサービスを作るべきか?」「どのような販売方法を取るべきか?」「どのような魅力をアピールしていくべきか?」などは決めることができません。
市場調査なしに、これらを自社の勝手な想像で決めてしまうと、その新規事業の成功率は著しく下がり博打同然の施策となってしまいます。
結果として、ニーズが全くない市場に参入して事業が失敗するといった結果を招きます。そのような結果を避けるために、市場調査は新規事業や新製品を開発する際に必須であると言えます。
市場調査の種類と手順

市場調査の種類
市場調査の種類は大きく「探す」調査と「聞き出す」調査に分かれます。
「探す」調査とは、WEB、論文、記事、統計データや書籍から知りたい情報を探し出す調査方法です。
一方で、「聞き出す」調査とはアンケートやインタビューなどの手法による調査が当てはまります。
多くの場合市場調査というと、ユーザーインタビューのような「聞き出す」調査を思い浮かべる方が多いかと思いますが、実はこの「探す」に調査で事前に市場の傾向感やポイントを押さえていないと「聞き出す」調査は多くの場合成果を生みません。
この二つの種類の調査を正しい順序で、両立して行なっていくことが市場調査においては非常に重要となります。
市場調査の手順
知りたいこと次第で調査方法は個別具体的に考える必要があり、その難しさからリサーチ会社や、当事務所のようなマーケティングコンサルタントが存在しています。
個別具体的に考える必要がありますが、イメージを掴んでもらうためにも、今回は調査手順の一例を大まかにお伝えしたいと思います。
1.調査の目的を明確化する
調査をしていると、どんどん知りたいことが後から出てきて脇道に逸れていくことは往々にしてあります。
何のために市場調査をするのかは最初に明確に定め、調査を進める中でも常に立ち返るようにしましょう。
2.何が分かれば調査目的を達成できるかを検討する
調査目的に、一足飛びに辿り着くということはまずありません。
例えば、板橋駅前で居酒屋を開こうと考えている事業者が市場調査をする際には
板橋駅で飲む人がどのような人なのか?(住んでいるの人?・勤務している人?)や、板橋駅前の居酒屋の競合はどんな所があるのか?
など幾つかの情報を入手して、複合的に考える必要があります。
3.「探す」調査の開始
まずは徹底的にパソコンで検索して調べましょう。手っ取り早いのでパソコンを使ったリサーチから始めることが多いですが、調査対象次第では最初から文献や書籍を当たることもあります。
Google検索も、検索下位100位のページまでは確実に見るくらい徹底して行うと、ネット上に情報が溢れている昨今においては、それなりに市場のトレンドや大枠を掴むことができるでしょう。
最近は生成AIも普及してきていますが、誤りを回答される恐れもあるため利用するときは本当に正しい情報か疑いながら適宜調べるようにしましょう。
4.「聞き出す」調査
「探す」調査は素早く大枠を掴むことには優れている反面、事業に必要な個別具体的な顧客ニーズのような込み入った内容までは入手出来ないことが多いです。
そのため、2で定めた必要情報のうち「探す」調査で得られなかった情報を入手するために、「聞き出す」調査が用いられます。
「誰に」「どんな質問を聞く」と必要な情報を得られるかを検討の上で、ヒアリングに移っていきましょう。
市場調査を効率化するためのツール
市場調査における、「探す」調査では幾つか信頼できる情報源として有用なものを知っておくと、初期的な調査の速度が飛躍的に上がります。
こちらの記事に、情報源として有用なサイトをまとめているので、ぜひご覧ください。
そのほかにも市場調査の効率を上げることが出来る有用なツールを紹介します。ぜひ目的に合わせて、最適なツールを選定してみてください。
Google Trends
検索キーワードの注目度合いの推移を、確認できるGoogleが提供している無料ツールです。
自分がこれから新規事業で提供しようとしてる商材や、市場に関するキーワードのトレンドを見ることで、日本国内での注目度合いが上がっている商材なのかなど、大まかな傾向感を掴むことに役立ちます。
「探す」調査の初期段階においては、使い勝手のいいツールであると言えます。
Google トレンドのリンクはこちら
Statista
世界中のあらゆる業界の統計データを掲載している、世界最大級のデータプラットフォームです。
無料でも一部統計データを見ることが可能ですが、有料プランに加入すると100万以上の統計データにアクセスすることが可能となります。
「探す」調査においては、中盤から終盤まで使える非常に有効なツールと言えます。
海外でのビジネス展開などを検討する場合は、特に有効なツールとなり得ます。
大手企業にとどまらず、中堅企業でも海外展開や輸出や輸入を伴うビジネス展開をする場合は、情報を取るためにもぜひ一度は確認したいデータベースです。
Statistaのリンクはこちら
SurveyMonkey
無料でも利用し始められる、WEB上でアンケートを作成し回答を集計することが出来るツールです。
「聞き出す」調査の初期段階において特に効果を発揮するツールと言えます。
「聞き出す」調査は多額のお金や多くの工数を要しますが、本ツールを使うことで手軽に始めることが出来るようになります。
自社が知りたい情報が、対面でのヒアリングが必ずしも必要ない場合にはぜひ活用を検討してみてください。
まとめ
多くのマーケティングリサーチ会社は「聞き出す」調査偏重となり、逆にコンサルティングファームは「探す」調査偏重となる傾向にあると個人的には感じています。
当事務所はマーケティング特化型のコンサルティング事務所であるため、皆様の会社の状況に適した形で「聞き出す」調査と「探す」調査をバランスよくご支援・実行の代行を承ります。
新規サービスの開始などにあたり、市場調査をどう進めていいか全く目処が立っていない場合には、ぜひ参考にしてみてください。
当事務所では新規事業の立上げ支援や、マーケティング戦略立案・実行・資金繰り改善のご支援をしています。
もし外部機関に協力を仰ぐことを御検討される際には、選択肢の一つとして当事務所を入れていただたら、非常にありがたく思います。
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