最終更新日 2024年6月17日
創業をする方向けに、行政は多様な補助制度を用意しています。
しかしながら、そのような制度は新聞の一面で告知されたり、テレビで大々的に報じられることは少なく、広く認知されていないのが現状です。
認知は低いですが、東京で創業する方はぜひ知っておきたい助成金情報を今回はまとめて解説します。
現時点では募集が終了しているものもありますが、来年度同様の募集が行われる可能性がありますので、本記事でこれまでどのような支援制度があったのか知っておき、次回募集があった際には速やかに申請できるようにしておくことをおすすめします。
目次
東京都創業助成金とは

かつては創業補助金という制度が国によって用意されていましたが、現在は廃止されています。
そのため創業者を補助するような公的な補助金・助成金の制度は地方自治体が独自に行うものしかないのが現状です。
幸い東京都では、創業者向けの助成金を用意しており、これまで4月頃と10月頃の年2回募集がありました。
申請受付期間が1週間程度しか用意されていないことが多いので、東京都から告知が開始したらすぐに申請準備に取り掛かり、受付開始したらすぐに提出できる状態を作っておく必要があります。
このような制度の発表を毎日サイト確認することは難しいので、補助金や助成金をうまく使っている事業者は中小企業診断士を顧問としてつけて、定期的に情報提供を受けている場合が多いですね。
東京都創業助成金の概要
助成対象者と申請要件
都内で創業予定又は創業して5年未満の中小事業者や個人事業主であり、かつ以下のリストの要件のどれかを満たしている事業者が助成の対象となります。
- 東京都及び都内市区町村が行う創業者を対象とする制度融資の利用者であること
- TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援を終了していること
- インキュベーション施設運営計画認定事業の認定施設の入居者であること
- 都内の公的創業支援施設入居者であること
- 都内市区町村で認定特定創業支援等事業による支援を受けたことがあること
申請要件を見てもよくわからないなという方は多いと思いますが、全て当てはまらないようであれば、一番目の創業融資制度を受けることが、近道だと当事務所では考えております。
こちらは日本政策金融公庫や、現在付き合いのある金融機関に相談して都もしくは区や市町村の創業制度融資を案内してもらうとよいでしょう。
※注意事項
個人事業主は創業予定でまだ開業届を出していなくても対象になりますが、法人の場合設立前に申請を出すことができないので注意する必要があります。
助成率と限度額
助成率:助成対象経費の3分の2以内
限度額:400万円(下限100万円)
助成金や補助金の申請にあたり注意すべき点として、ただお金がもらえるという訳ではありません。
実際に使った経費のうち一部が補助されるという形態が主流であり、ご自身での負担額が一部発生することが多いです。申請を検討する際は自身で負担してでも、使いたい経費を助成対象にするようにしましょう。
助成金を貰うことを目的として、投資を検討することは本末転倒であり、申請手続きの工数の多さから本業を阻害する要因になることも考えられます。
また補助金や助成金の補助は立替払いの期間が発生する(ご自身で経費を支払、数ヶ月後に助成金が振り込まれる)パターンが大半であり、一時的に資金繰りの悪化を引き起こす等のリスクがあることを理解したうえで、申請を検討する必要があります。
当事務所では、事業者様の経営安定を第一に考え、補助金申請に向かない経営状況や投資内容の場合、申請を勧めることはいたしません。申請検討にあたり、ご不安があれば一度当事務所へお問い合わせください。中小企業診断士がご相談にのります。
助成対象になる経費
創業初期に必要な経費として以下が対象とされています。
- 賃借料
- 広告費
- 器具備品購入費
- 産業財産権出願・導入費
- 専門家指導費
- 従業員人件費
ただし、交付決定日以前に支払った賃借料や、役員・経営者人件費、内装工事費などは助成対象外となっておりますので注意しましょう。
過去の採択率について
年度 | 申請者数 | 採択者数 | 採択率 |
平成29年度 | 863 | 115 | 13.3% |
平成30年度 | 600 | 151 | 25.1% |
令和1年度 | 808 | 152 | 18.8% |
令和2年度 | 1,037 | 156 | 15.0% |
令和3年度 | 1,140 | 157 | 13.7% |
令和4年度 | 1,210 | 162 | 13.3% |
令和5年度 | 1,060 | 157 | 14.8% |
上記表のとおり、例年の採択率は15%〜20%前後で推移しており、出せば簡単に通る助成金ではないことは事実です。
そのため、創業当初から助成金をあてにし過ぎず、採択されれば嬉しいが、不採択でも事業運営に問題はない計画を立て事業を開始することが大切です。
また本助成金の採択率は、その他の補助金や助成金と比べ高くありません。国の補助金ですと、50-60%前後の採択率を誇るものも多く存在します。
各省庁や自治体のHPからご自身で調べるか、当事務所のような支援機関に相談して、他の補助金・助成金の情報を集め、自社に適した補助金・助成金を検討のうえで申請することをお勧めします。
創業助成金の申請から入金までの流れ
基本的には資金繰り表と、事業計画書のセットのような申請書となります。
事業の独自性や革新性の高さをアピールできると、他の申請者との差別化を図れ採択されやすいと考えられます。
郵送またはjGrants(補助金申請用サイト)からの電子申請となります。
書類審査通過後面接審査に進むことになります。
こちらが最終の審査になります。
この時点ではまだ入金にならないので、注意が必要です。
経費が助成される期間になります。(最長2年)
事業実施してきたことの報告書と、助成対象経費の領収書など証拠書類を提出することになります。
完了報告終了後、事業実態や領収書のチェックが行われてから、助成金の入金となります。
上記のフロー図の通り、助成金の支払いは後払いとなり、最初は自身で立て替えておく資金余力が必要となります。
そのため、申請要件となっている創業融資等をうまく利用して、手元資金を厚くしておき、助成金入金までの立て替えにも耐えられるようにしておく必要があります。
詳細は東京創業ステーションのサイトからご確認ください。
その他の創業者が使える助成金
以下で紹介する二つの助成金は併願申請が可能となっています。
若手・女性リーダー応援プログラム助成事業
助成金概要
都内の商店街で、女性又は若手男性が新規開業する際に、店舗の内装工事費や設備導入等にかかる経費の一部を助成してもらえるものです。令和6年度は年3回の募集があります。
直近の募集回で設定されていた、対象者の要件は以下となります。
- 女性もしくは、令和7年3月31日時点で39歳以下の男性である
- 「創業予定の個人」もしくは「個人事業主」であること
- 申請予定店舗が「都内商店街」であり、業種は公社が定める業種であること
- 商店街における開業について、本申請時点で当該商店街にある商店街振興組合、商店会等の組織の代表者等から出店することの確認が取れていること
- 以下のいずれかにより、申請する事業に関する実務知識を有していること。
- 申請日までに1年程度の経営実務経験を有していることを職務経歴書等で証明できる。
- 経営等に関する資格を有していることを証明書等で証明できる。
- 申請日までに経営知識の習得研修を受講している又は開業までに受講できる。
- 各回交付決定日から1年以内に開業(開店)すること
- 大企業や大企業が参画している企業のフランチャイズ加盟業者ではないこと 等
本助成金の応募資格要件は非常に多いため、申請に公募要領を熟読するか当事務所のような支援機関にご相談ください。
上記の要件の通り開店をする前に準備をしておく必要があります。
助成限度額
以下の表のように、経費区分ごとに助成限度額が定められており、最大で844万円の補助がでます。
経費区分 | 助成率 | 助成限度額 | 助成対象期間 |
事業所整備費 ・店舗新装・改装工事費 ・設備・備品購入費(税込10万円以上) ・宣伝/広告費(上限150万円) | 3/4以内 | 400万円 | 最長1年 |
店舗賃借料 | 3/4以内 | 1年目:180万円 2年目:144万円 3年目:120万円 | 交付決定日から 3年間 |
助成対象になる業種
以下業種を営む予定の方が助成対象となります。
- 卸売・小売業
- 不動産業・物品賃貸業
- 学術研究・専門・技術サービス業
- 宿泊業・飲食サービス業
- 生活関連サービス業・娯楽業
- 教育/学習支援業
- 医療/福祉業
- 機械等修理業
詳細は東京都中小企業振興公社のサイトをご確認ください。
商店街起業・承継支援事業
助成金概要
都内の商店街で、新規開業又は既存事業を引き継ぐ形式で開業する際に、店舗の工事費や設備導入、広告宣伝費や賃借料等の一部を助成してもらえるものです。令和6年度は年3回募集しています。
「開業」「多角化」「事業承継」の3つの申請区分があり、区分により申請可能な事業者が変わります。
直近の募集回で設定されていた、対象者の要件は以下となります。
- 「創業予定の個人」又は「中小企業者(法人・個人事業主)」であること
(一部「事業承継」区分は対象外) - 申請予定店舗が都内の商店街であること
- 開業が各回交付決定日より1年以内であること
- 申請者(法人の場合は代表者)/法人の場合は、当該法人の従業員(正社員に限る)が開業予定であり、店舗の事業に専ら従事する予定であること 等
本助成金の応募資格要件は非常に多いため、申請に公募要領を熟読するか当事務所のような支援機関にご相談ください。
上記の要件の通り、こちらの助成金も開店をする前に準備をしておく必要があります。
助成限度額
以下の表のように、経費区分ごとに助成限度額が定められており、最大で694万円の補助がでます。
経費区分 | 助成率 | 助成限度額 | 助成対象期間 |
事業所整備費 ・店舗新装・改装工事費 ・設備・備品購入費 ・宣伝/広告費(上限150万円) | 3/4以内 | 400万円 | 最長1年 |
店舗賃借料 | 3/4以内 | 1年目:180万円 2年目:144万円 3年目:120万円 | 交付決定日から 3年間 |
助成対象になる業種
以下業種を営む予定の方が助成対象となります。
- 卸売・小売業
- 不動産業・物品賃貸業
- 学術研究・専門・技術サービス業
- 宿泊業・飲食サービス業
- 生活関連サービス業・娯楽業
- 教育/学習支援業
- 医療/福祉業
- サービス業
詳細は東京都中小企業振興公社のサイトをご確認ください。
家賃補助が3年間に拡大されたり、少しづつ改良が重ねられている印象であり、商店街で商売をされる方にとっては魅力的な助成金です。
最後に
東京都では、上記のような都が用意している助成金以外にも、各市区が用意している助成金などもあります。また国が用意している補助金なども多数種類があります。
補助金や助成金を上手に活用して、経営/資金繰りを安定させて投資を行いたいという方はぜひ一度、当事務所の無料相談に気軽にお申し込みください。(無料相談は有料契約いただいているお客様へのサービス品質を担保するため、月3事業者様限定です。)
皆様の事業に最適な補助金・助成金の利用プランをお話しさせていただきます。